ポンプ座(Antlia)/星座の基本を学ぼう②

ポンプ座(Antlia)

Antlia(ポンプ座)

和名 ポンプ
学名 Antlia
略符 Ant
設定者 ラカイユ(ラカーユ)
概略位置 赤経:10h00m / 赤緯-35°
面積 239平方度
20時正中 5月7日
南中高度 約19°
主な季節
肉眼星数 約40個

ポンプ座

ポンプ座(ぽんぷざ、Antlia)は、南天の星座の一つで、その名前はラテン語で「ポンプ」を意味します。
ポンプ座は18世紀にフランスの天文学者ニコラ=ルイ・ド・ラカーユによって導入された比較的新しい星座です。
以下は、ポンプ座についての主要な情報です。

特徴

  • 位置
    南天に位置し、いて座とむし座の間にあります。
  • 面積
    239平方度で、88の現代の星座の中で61番目に大きい星座です。
  • 明るい星
    最も明るい星はα星(アルファ・アントリアエ、Alpha Antliae)で、4.25等級です。

観測

  • 季節
    南半球で春から夏にかけて観測しやすい星座です。
  • 主な星
    • α星(アルファ・アントリアエ)
      4.25等級の星で、ポンプ座で最も明るい星です。
    • γ星(ガンマ・アントリアエ)
      4.25等級の星で、二番目に明るい星です。

興味深い天体

  • NGC 2997
    渦巻銀河で、ポンプ座に位置します。
    地球から約42,000万光年の距離にあります。
    双眼鏡や小型望遠鏡で観測することができます。

名前の由来と歴史

ポンプ座の名前は、ラテン語で「ポンプ」を意味し、18世紀後半にフランスの天文学者ニコラ=ルイ・ド・ラカーユによって新たに導入された星座です。
この名前は、その形がポンプに似ていることから付けられました。

観測のポイント

ポンプ座は、南半球の観測者にとって見やすい星座です。
アルファ・アントリアエやガンマ・アントリアエを目印にして、星座の形を探すと良いでしょう。
渦巻銀河NGC 2997は望遠鏡を用いて観測すると、その美しい構造が見えます。

ポンプ座は比較的小さな星座ですが、その明るい星と渦巻銀河などの興味深い天体のため、天文学愛好家にとっても魅力的な星座です。

ギリシャ神話では・・・

ポンプ座(Antlia)は、ギリシャ神話に直接的な起源を持つ星座ではありません。

ポンプ座(Antlia)は、フランスの天文学者ニコラ=ルイ・ド・ラカイユ(Nicolas-Louis de Lacaille)によって1751年から1752年にかけてケープタウンで行われた観測に基づいて導入されました。
彼は南半球の星空を詳細に観測し、当時の科学技術に敬意を表して新しい星座をいくつも作成しました。
ポンプ座はその一つで、科学的な空気ポンプ(空気圧縮機)を象徴しています。

ラカイユは当時、科学や技術の進歩を星座に反映させることで、天文学と科学技術の結びつきを強調しました。
ポンプ座を含む彼の星座の多くは、科学機器や技術の名前に基づいています。
例えば、顕微鏡座(Microscopium)や彫刻具座(Caelum)などもラカイユによって導入された星座です。

ポンプ座の主な星には以下のようなものがあります:

  1. α Antliae
    ポンプ座で最も明るい星で、視等級は約4.28です。
    これはオレンジ色の巨星で、地球から約370光年離れています。
  2. ε Antliae
    ポンプ座の他の明るい星で、視等級は約4.51です。
    白い巨星で、地球から約700光年離れています。

ポンプ座は比較的小さな星座で、目立つ星が少ないため、あまり知られていない星座の一つです。
しかし、南半球の天文学者や星空愛好家にとっては重要な星座の一つです。

ポンプ座の観測

ポンプ座は南半球の星座であり、南緯約30度から60度の間で最もよく見えます。
北半球では、緯度が低い地域(赤道に近い地域)でのみ観測することができます。

ラカイユと彼の星座

ニコラ=ルイ・ド・ラカイユは、18世紀に南半球の星空を詳細に観測し、当時の天文学に大きな貢献をしました。
彼は、科学の発展を記念するために、いくつかの新しい星座を導入しました。
彼の星座の多くは、科学機器や技術の名前に基づいており、その中には以下のような星座があります。

  • 顕微鏡座(Microscopium)
    顕微鏡を象徴する星座。
  • 彫刻具座(Caelum)
    彫刻家が使用する道具を象徴する星座。
  • 時計座(Horologium)
    振り子時計を象徴する星座。

ラカイユの星座は、当時の科学技術の進歩を反映しており、彼の観測と分類の業績は、天文学の歴史において重要な位置を占めています。

ポンプ座にはギリシャ神話の物語はありませんが、その命名の背景には、18世紀の科学技術の進歩を反映するというラカイユの意図がありました。

ラカイユは古典的な神話のテーマから離れて、彼の時代における科学と技術の進歩を反映する星座を作成しました。
このため、ポンプ座を含む多くの彼の星座は、天文学史においては新しく、神話的背景を持たないことが特徴です。


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